タスク管理のピラミッド(タスク管理4.0)

タスク管理のピラミッド(4.0)と戦争術

戦争術をご存じでしょうか?名前の通り、戦争で勝つための術です。



タスク管理はこの戦争術との親和性が非常に高いので、戦争術との関係性を紹介しつつ、タスク管理の3段階モデルを発展させた現代のタスク管理モデル、タスク管理の構造論「タスク管理4.0」について触れます。

※タスク管理4.0=タスク管理のピラミッドです。

戦略・作戦・戦術・後方支援

戦争術は戦略・作戦・戦術・後方支援(兵站)で構成されます。

ドイツとフランスの戦争を例に取ると、ドイツにとって、

パリの奪取が戦略。

フランス軍の粉砕が作戦。

フランス軍を具体的にどう攻略するかが戦術。

戦術を成功させるための、前線部隊へのありとあらゆる物資の補給が後方支援(兵站)です。

詳しくは下記リンク先をご覧下さい。

タスク発生管理は戦略

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タスクには必ず、そのタスクを行うことによって近づく目的があります。

自分起点のタスクであれば、その目的は自分で決め、他者起点のタスクであれば、目的が不明な場合は明確にします。

このようなタスク発生管理の活動は、戦争術での戦略にあたります。

タスク状態管理は作戦

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目的それ自体はタスクではありません。よって、目的は実行できる大きさまでブレイクダウンする=タスクに分解する必要があります。

目的が大きい場合は、この分解作業を簡単にするために、マイルストーン/目標を設定します。

目的は一度決めたら滅多に変えることはありませんが、目標は実際のタスク実行状況を踏まえて、変更していきます。タスクが実行されているにも関わらず、目標が達成できないのであれば、タスクへのブレイクタウンがうまくできていないということなので、再度別の切り口で分解します。どう試行錯誤してもタスクが実行されない場合は、目標そのものを変更したりします。

このようにタスクそのものの大きさや内容、実行状況を含めたタスクの「状態/ステータス」を管理することをタスク状態管理とし、この段階は戦争術の作戦にあたります。

タスク実行管理は戦術

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目的をタスクまで分解することと、タスクが実行されることは別の問題です。

「ダイエットして健康になる」という目的から「毎朝ランニングをする」というタスクに分解した人は、これまでに何千万人もいたと思いますが、それを実行できた人はその内の10%以下でしょう。GTDで言えば、「コンテキストに割り振ったからと言って、そのタスクは本当に実行されるのか?」という話です。

確実に実行する、究極的には自然とできるようになる(Natural to do)ための試行錯誤の段階がタスク実行管理です。タスク状態管理はタスクそのものを管理し、タスク実行管理はタスクの周囲(時間・自分の調子等)を管理するという意味で、状態管理と実行管理は対の関係です。

タスク実行管理は、立案された戦略・作戦を実際の戦場で現実のものとするための戦術にあたります。戦略・作戦を成功させるために、実際の戦闘でどのように戦うかが戦術です。これは以前書いた下記記事にも繋がります。

実行資源管理は後方支援(兵站)

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タスク発生管理・状態管理とタスク実行管理の一番の違いは、行動です。

タスク発生管理・状態管理は情報の処理を行うだけですが、実行管理では「タスクを実行する」という行動を起こす必要があります。戦略・作戦と、実際の戦闘における戦術の関係と同じです。

筋肉を動かすにはグリコーゲンが必要なように、行動するにはエネルギーが必要です。そこで、タスク実行のエネルギー=資源を管理する実行資源管理が、タスク実行管理には付随します。

タスク実行の資源は、人によって様々です。体力・体調・認知資源・意思力・精神力・モチベーションetc…。タスクを実行する人が何をタスク実行の資源と考えているかで、管理する資源は変わります。

この実行資源管理は、戦術のための物資補給、後方支援(兵站)にあたります。

現代のタスク管理、「タスク管理4.0」

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タスク管理の3段階モデルにタスク実行管理に付随する実行資源管理を付け加えた上記4つの要素で、現代のタスク管理は構成されています。

世の中には様々なタスク管理手法がありますが、それはすべてこの4要素のどれかに属します。そして、タスク管理がうまくいっていない時は、この4要素のどれかが不十分であるということです。

タスク管理は、思考は現実化すると思われていた時代、言い換えると目的の設定=タスク発生管理が最重要視されていたタスク管理1.0の時代から数十年の時を経て、様々な分野の科学的知識で4要素を満遍なく補強し、思考を現実化”させる”「タスク管理4.0」まで発展したのです。

あとがき

「戦争の玄人は兵站を語り、戦争の素人は戦略を語る」という戦争術の格言がタスク管理にも当てはまります。

夢やビジョンだけ語り、実行が伴わないことほどむなしいものはありませんが、タスク状態管理より下の階層の知識が無ければ、ほとんどの人はこのような状態に陥ることを避けられません。

一方、夢やビジョンを実現している人は、手法は人それぞれですが、タスク実行管理の仕組みを確立しているものです。

さぁ、タスク管理の玄人になってタスク実行管理を語りましょう。

▼音声でこの話をまとめ直してみました。あと、このタスク管理の構造の名前を「タスク管理4.0」から「タスク管理のピラミッド」に変えました!Apple、Google、Spotify含めた8つのPodcastで聞けますので、スキマ時間にご活用ください!