タスク管理のピラミッド(タスク管理4.0)

生産性への回帰と能力の隔離~タスク管理史 最終回~

白熱したライフハックブームは人々の能率向上に大きく貢献した。

しかし貢献しすぎたが故に、能率向上自体が目的と化し、人々は疲弊し始めた。

「確かに前より色々なことができるようになったけど、ただ忙しくしているだけのような気がする。。」

生産性が失われていたのである。

この流れに気付いた者たちが、人々の生産性を取り戻すべく、「目的を正しく見極めることが大切である」と主張した。代表的な著作を挙げると、”イシューからはじめよ”や”生産性”などだ。

それまでは成果/正味実働時間は能力で決まると思われていたが、この主張により、成果/正味実働時間は

成果/結果(目的)

×

結果/正味実働時間(能力)

に因数分解され、人々の意識はまた生産性へと回帰した。

以上が、わたしの考えるタスク管理史である。が、ここで謝らないといけないことがある。

タスク管理は1.0から時と共に進化して行ったわけではない。わかりやすいように、時系列があるかのように説明してきたが、決してそうではない。

特にGTD&ライフハックブーム、そして上で紹介している”イシューからはじめよ”の発刊は、すべて2000年代後半~2010年頃の話であり、同時期である。

このタスク管理史は、同時期に存在した複数の概念を整理するための例えに過ぎない。


それではタスク管理4.0とは何か?


上の方程式を見ると、生産性が目的・能力・能率-質・能率-量・効率で構成されていることがわかる。

タスク管理4.0はここから能力を隔離する

なぜなら、能力は誰もが学習可能な技術ではないからだ。

能力は、発想力、コミュニケーション力、プレゼン力、果ては人脈、お金にまで多岐にわたる。書店にはこれら能力に関する本がズラッと並べられているので、誰もが学習可能と錯覚してしまう。

そう、錯覚だ。

確かに誰もが能力に関して学ぶことはできる。しかし、それをどの程度身に付けられるかは人によって異なる。

同じインプットをしても、その人の資質や経験、環境によって、アウトプットが変わってくる。

ここで言う「誰もが学習可能」とは、誰でも同じインプットをしたら同じアウトプットが出てくることを指すので、能力はこれには当てはまらない。

一方、効率・能率を上げるための技術は学習可能であり、目的の見極めにも方法論が存在する。タスク管理4.0は、これらの学習可能な領域のみを対象とする。

まとめると、「タスク管理4.0とは生産性に関わる5要素から能力を除外した、目的・能率-質・能率-量・効率を扱う技術群」ということになる。




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