仕事の3要素

プロジェクトとイベントと短期請負タスク~スケジュールの立てやすさ~

今回は「スケジュールの立てやすさ」の軸で、3要素を比較します。スケジュールの立てやすさは割込の量タスクを組む上での主導権、そしてタスクの重要度判断のための情報量に依存します。

プロジェクト

プロジェクト中心の仕事では、割込はあまり多くありません。完全に自分ひとりで完了するプロジェクトであれば割込は0ですし、複数人と協力して進めるプロジェクトでも割込は他者からの質問ぐらいで、量は少ないでしょう。

タスクを組む上での主導権は自分にあります。前述したとおり、自分でプロジェクトをタスクに分解するので、それをどう組むかも自分で決められます。

各タスクの重要度判断のための情報量は十分です。すべてのタスクを自分でプロジェクトから分解しているのですから当然です。

割込が少なく、タスクも自分主導で組め、前回解説したように1日あたりのタスク数も1タスクにかかる時間も、各タスクの納期も自分で決められ、それぞれの重要度も正しく判断できるので、結論としてプロジェクト中心の仕事のスケジュールは非常に立てやすいことになります。

イベント

イベント中心の仕事も割込は多くありません。普通のタスクを実行しているときに、自分に電話がかかってきたら、それは割込になりますが、会議中や接客中に電話がかかってきても、会議・接客を優先し、そもそも電話に出ないと思います。基本的にイベントに取り組んでいる間はそのイベントが最優先タスクになるので、他の要素では割込になるものが割込にならない、言い換えれば割込が発生しにくいということになります。

イベントを設定する際の主導権は基本的には相手にあります。ただ、相手との力関係で自分が優位にある場合は主導権を自分で握れます。たとえば、自分以外の参加者が全員部下の会議のスケジュールは自分で決められますし、サプライヤーから材料を購入する製造業の購買部ならサプライヤーとの打合せ日時を指定することができるでしょう。

各イベントの重要度判断のための情報量は十分です。イベントの重要度はイベントの目的に依ります。そしてイベントを設定する段階で、そのイベントの目的は基本的に明確だからです。イベントの目的が不明確であれば自分か相手かどちらかがイベントを設定することに同意しません。「何を話すかわかりませんが、とりあえず時間をください」と言われて、もしくは言って、その打合せ(イベント)の実施が決まる可能性は0でしょう。

イベント設定の主導権は基本的に相手にあるイベントですが、スケジュールは立てやすいです。なぜなら割込が発生しにくいことに加えて、1イベントにかかる時間が長く、結果1日あたりのイベント数が少ないからです。

たとえば、家電量販店の販売員で、労働時間8時間中5時間、接客のために店頭に立っているのであれば、1種のイベントの所要時間が5時間ということになり、タスクのスケジュールを組む必要があるのは3時間だけなので、スケジューリングの難易度は下がります。もし接客だけのために派遣された家電量販店の販売員アルバイトであるなら、労働時間のほとんどが接客業務になるので、スケジュールを立てる必要すらありません。

イベントの大半が会議の職種の場合でも、会議時間は1時間として、労働時間8時間中8割が会議だったとしても、約6回の会議の優先度を会議の目的から決めればよいだけなので難しいことではありません。あとは残りの2時間分のタスクのスケジューリングをすれば良いだけです。

実際の仕事は3要素の組み合わせなので、こんなに単純ではありませんが、1日の中でスケジュールを立てる必要のあるイベントの数が少なく、タスクのスケジューリングをする時間が少ないので、イベント中心であればスケジュールを立てやすいことは確かです。

短期請負タスク

短期請負タスク中心の仕事は割込が多いです。相手の依頼の緊急度が高ければ、電話や直接、口頭で依頼をしてきます。カスタマーコールセンターのように、依頼者がどんなに急いでいても順番を待たされる仕組みがあれば割込はないですが、そのような仕組みがなければ割込放題になります。

タスクを組む上での主導権は相手にあります。依頼を受けて仕事をするのが短期請負タスクなので、主導権は完全に相手が握ります。

各タスクの重要度判断のための情報量は不十分です。すべてのタスクは人から依頼されたものなので、依頼時に詳細な説明がない限り、そのタスクが依頼者の中でどれほど重要なのかをこちらで完全に理解することはできません。

割込が多い上に、主導権は相手にあり、短納期の細々したタスクが多く存在する短期請負タスク中心の仕事はスケジュールは立てにくくなります。まず、数多くのタスクすべてに優先順位を付ける必要があるからです。これだけで結構な手間です。さらに、すべてが短納期なので優先順位付けの軸としての「緊急度」が機能しにくく、もう一つの軸の「重要度」も、情報量不足で判断しにくいからです。

まとめ

前回と上記の比較をまとめたのが下図です。次回はそれぞれの要素の関係性について書く予定です。

20160723_比較

一応すべての要素の仕事を経験してはいますが、わたし一人ではこの論を練り込むことができないと思っていますので、異論反論ありましたら、ドシドシお寄せください!

<2016/7/23 更新>
3つの主要素の一つ、アポイントメントをイベントに変更し、内容も修正しました。