GTD

GTD~システムとしてのタスク管理術~

この記事を読んで得られるノウハウと効果:タスク管理のベースとなるノウハウ、GTDの概要が掴め、自分に合ったタスク管理システムを構築しやすくなります。

GTDとは?

GTDとはGetting Things Doneの頭文字です。ここでのGet(ting)は使役を表すGetであり、目的語であるThingsをDoしてもらうという意味になります。Doneは過去分詞で受け身を表すので、 「ThiingsにDoしてもらう」のではなく、Thingsは行為の対象となり、「Thingsを(何かに)Doしてもらう」という解釈になることに注意です。それではThingsをDoしてもらう「何か」とはいったい何なのでしょうか?

え?どうでもいいって?ま、つまりGTDとは文字通り、物事を完了させる方法ってことです。

「ストレスフリー」は伊達じゃない

GTDは、デビッド・アレン氏の著書「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」で紹介されています。もちろんわたしも、この本を読んでGTDを知り、GTDを導入したわけですが、GTDを始めた後、わたしは本のタイトル通り、本当にストレスフリーになりました。GTDに出会えたわたしは世界一の幸せ者です!

怪しい宗教みたいになってしまいましたが、GTDを実践すると気になることがすべて頭の中から出て行くので、その分ストレスが減るのです。

その仕組みを、次で詳しく解説していきます。

GTDでなぜストレスフリーになれるの

「ストレスフリーって言うけど、なんでGTDをするとストレスフリーになるの?」

この問いに、「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」冒頭の「日本語版解説 ストレスフリーとは何か?」にあるGTDのシンプルな説明を使って、答えてみます。

・頭の中の「気になること」を”すべて”頭の外に追い出そう。~中略~
・それらすべての「気になること」について、求めるべき結果と次にとるべき行動を決めよう。~中略~
・そうして決めた、とるべき行動を信頼できるシステムで管理し、定期的に見直そう。

p4より引用

まず、「頭の中の『気になること』を”すべて”頭の外に追い出す」ことにより、 「気になること」を何回も思い出すことがなくなります。同じ事を、何回も思い出すのは脳のエネルギーのムダ使いで、ストレスが溜まります。何回も思い出すのは、「気になること」を「忘れる」という機能を持った脳に保存しているからであり、「気になること」をまず脳の外の「忘れる」という機能を持たない外部記憶装置(紙やアプリなど)に”すべて”書き出せば、このストレスはなくなります。

次に、「すべての『気になること』について、求めるべき結果と次にとるべき行動を決める」ことにより、「気になること」を気になることのまま放置し、何回も同じことを考えることがなくなります。何の積み重ねも無く「あれどうするかなー」と何度も考えるのはムダ以外の何者でもなく、ストレスが溜まります。しかし一度、「『気になること』解消のために自分がすべきことは何か」まで考え抜いてしまえば、それ以上考えることがなくなるので、この様なストレスに悩まされることは二度とありません。

最後に、「とるべき行動を信頼できるシステムで管理し、定期的に見直す」ことにより、やろうとしたことをし忘れ、「あっ!あれやってなかった!」ということがなくなります。やろうとしていたことをやらなかったために、誰かに謝ったり、予定を組み直したりするのはストレスが溜まります。このストレスから解放されるのです。

ここまで読んだあなたは、GTDを導入してストレスフリーになるあなた自身の姿が容易に想像できることでしょう。しかし、せっかくなので、上記にあるGTDの「信頼できるシステム」まで次で紹介してしまいしょう。出血大サービスですよ。

GTDの5ステップ

おそらくGTDを知っている人、10人に「GTDと言えば?」と聞いたら、8人はこの5つのステップと答えるでしょう。この5ステップは、そのぐらい有名であり効果的なタスク管理のシステムと言えます。

下図を参照しながら、5つのステップを説明します。
GTD_flow

収集する

頭の中で「気になること」をすべて書き出します。やるべきこと、やりたいこと、やった方がいいこと、「すべて」です。そうして書き出したものを一カ所にまとめます。図で言うと、最上部のinboxの部分です。このinboxに、「気になること」をすべてまとめて放り込みます。inboxは紙でもアプリでも、自分にあったツールを使えばOKです。

処理する

収集した「気になること」をGTDの処理フローに沿って処理します。図で言うと、処理フローとは中央部の「?」で文章が終わっている7つの白い四角です。最上部のinboxにある「気になること」に、この質問群をくぐり抜けさせていきます。

整理する

処理した「気になること」を自分が決めた保管先やツールに入れ込んで整理します。図で言うと、中央部の白い四角の外側にある青緑色のボックスへ、「気になること」を入れることです。これらのボックスも自分にあったツールを使えばOKです。

レビューする

定期的に整理した「気になること」を見直します。一度整理したものでも、時間や状況の変化により、適切な場所に再整理する必要が出てくるからです。図で言うと、青緑色の各ボックスへ入れた「気になること」を「他のボックスに移動した方がいいのではないか?」という観点で再確認することです。

実行する

整理により、実行することに振り分けられた「気になっていること」を実行する。図で言うと、オレンジ色のボックスです。実行は、今すぐやるか、人に頼むか、次にやることリストに入れた後やるか、この3パターンだけです。

わたしが5ステップを踏まなくてもストレスフリーな理由

具体的な実践方法は! …

「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」を読んで下さい。

というのも、GTDはこうやって表層的にまとめられた手順だけを読んでもピンとこないからです。わたしもそうでした。GTDは原著を読み込み、実際にやってみて、はじめてどのようなものか腑に落ちる。そんなタスク管理術です。

また、「5ステップもあって大変そうだな」と思う方もいるかも知れません。

実際、5ステップを完璧に機能させるにはかなりの努力と工夫が必要だと思います。かく言うわたしも、仕事ではある程度機能していますが、プライベートではほとんど機能していません。プライベートでは、気になることが出てきたら書き留めること、つまり「収集」しかできていません。でもストレスフリーです。

なぜかって?それはプライベートでの気になることなんて、所詮やらなくても問題にならないことばかりだからです。もちろん、プライベートでも気になることを一つずつクリアしていった方がより良いとはわたしも思います。でも大半のことはやらなくても別に問題はありませんし、やらなかったら問題が起こりそうなことはinboxに入れたらすぐに処理・整理・実行をせずにはいられません。問題が起こりそうなこと=すごく気になること=放っておくとストレスが大きいこと=ステップの最後までやっておかないとストレスから解放されないことだからです。

一方、頭をかすめる多くの実行しなくても問題が発生しない気になることは、書き出して脳から追い出せば、その時点でストレスはなくなります。そして、実際に着手するか否かは、気が向いたときに書き出したリストを眺めて決めればいい。その程度の管理方法でも、わたしの生活にストレスは発生していません。

つまり、当著では「『気になること』は仕事もプライベートもまとめて、GTDのプロセスで回せ!」と紹介されていますが、ストレスフリーになるだけであればプライベートの気になることは収集だけしておくだけでも十分と言うのがわたしの持論です。型通りにGTDを実践することに執着して、「あぁ、ちゃんとGTDのプロセスを回せていない。どうしよう。。」とストレスを感じているようでな状態は本末転倒ということです。

これは、わたしはプライベートでやることはゴールからのトップダウンで決めているので、ボトムアップ型のGTDでわざわざ管理する必要がないということでもあります。

自分のやりたいことが明確に決まっている場合、ボトムアップ型、帰納法のタスク管理の全面採用は費用対効果が低いと個人的に考えているわけでありますが、ちょっと抽象的でわかりづらいと思いますので、これはまた時間を取って別の機会に。

GTDはタスク管理システムのベース

ここで冒頭の答え合わせです。ThingsをDoしてもらう「何か」とは何なのか?ここまで読んだあなたはもうおわかりでしょう。それは、「システム」です。自分自身ではなく、「システム」にThingsをDoしてもらう。この考え方こそがGTDの最も革新的な部分だとわたしは考えます。(この部分については語り足りないので、また次回)

タスク管理をしている人は、自身のタスク管理システムの中にGTDの手法を何かしら必ず取り入れています。GTDは自分が将来どのようなタスク管理システムを構築するとしても、必ずベースとなる考え方です。「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」は、タスク管理を志す者なら必読の一冊と言えるでしょう。

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